2015年7月19日
バーデン・ビュルテムベルク州では「再生可能エネルギー熱法」が改正になり、7月1日から施行されています。
これまでの経緯を見る限り、BW州で先行施行された「熱法」が、数年後に連邦の法律になったり、改正されたりしていますんで、おそらく今回も、数年後の連邦の形(2016/17年EnEV改正のタイミング?)を先取りしていると思われます。
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基本的には以下のように変化がありました
- 今までと同じように、2009年1月以降の新築、今後の新築については、連邦の「EnEV」と「熱法」があるので、適用されません。それより以前に建てられた建物についての改修のみが対象となります。
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- 同様に、利用延床で50m2以上の住居、事務所などが対象です。また、4ヶ月以下しか利用していない別荘なども対象外です。
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- 対象となる建物において、セントラルヒーティングの熱源であるボイラーなどの発熱設備を取り替えたり、これまでセントラルヒーティングでなかった採暖式の建物にセントラルヒーティングをはじめて導入しようとするとき、これまでの熱法で定められていた「熱供給量(暖房・給湯)の最低10%の熱源は再エネにするもの」、という規制の数値が引き上げられ、今回から15%となりました。
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- 具体的にこの15%は、計算上で以下のいずれかの対策の中から、再エネ発熱し、クリアしなければならないことにしています。つまり、通常のオイルボイラーを入れる家庭では、購入する燃料を発熱量換算で最低15%分は、バイオマス由来のものと混燃する、とか、太陽熱温水器の場合は、必要パネルの大きさ、向き、蓄熱タンクの大きさを、簡易的なシミュレーション値で15%を超えるものを導入する、などなど。
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2015年4月4日
◆2022年までに原子力、2050年までに化石燃料を必要としない社会へドイツではエネルギーシフトが進んでいます。エネルギーシフトとは、2022年までに原子力を、2050年までに化石燃料をエネルギー源として必要としなくなる社会を推し進める一大政策、一大社会運動、一大経済改革のことを指しています。具体的には2050年までにドイツ社会が必要とするエネルギーを省エネによって半減させ、残り半分の最低限必要なエネルギーは、再生可能なエネルギーによってまかなうという内容です。
すでに、電力消費量における再生可能エネルギー発電の割合は、2012年の統計では21%になり、1990年の水力発電による3%とは隔世の感があります。しかし、その影響で、エネルギーについての定義そのものが、再度議論を要するような時代へと突入することになりました。複雑な話になりますが、箇条書きで状況を説明してゆきましょう。
・もともとドイツがエネルギーシフトをはじめた大義名分は、欧州における気候温暖化対策の議論に基づいています。つまり、原発はもとより、化石燃料も必要でない社会を形作り、温室効果ガス(とりわけCO2)の排出量を2050年までに80~95%削減(90年比)することが目標とされています。
・こうした議論の中、EU内でのエネルギー、省エネなどに関わる法整備では、CO2を原単位とした構造が出来上がりました。
・例えば、すべてのエネルギーに関わる政治的な、あるいは法的な目標値は、最終的にその場で消費される「消費エネルギー」、あるいは「最終エネルギー」ではなく(あるいは並べる形で)、その消費されたエネルギー量を確保するために必要であったすべての投入されたエネルギー量を取りまとめた「一次エネルギー」に表示・制度が作られて
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2015年4月4日
2013年5月13日の水曜日、建築物の省エネ性能を規定する〈省エネ法〉、および〈省エネ政令〉の改正内容を審議していたドイツ連邦議会の建設委員会は、非常に興味深い決議を保守会派側の賛成で押し通しました。ドイツではほとんどのケースですでに設置が禁止されており、同時に取替え義務まで発生し、2019年の年末までには特例の設備自体も取り替えが決められている「電気式の蓄熱暖房機」について、2020年から解禁するという決議です。
3.11の震災前までオール電化がかなり進められた日本において、とりわけ寒冷地では電気式の蓄熱暖房機は普及していますので、今回のこのドイツのニュースを解説することで、電気式の蓄熱暖房機について議論してみましょう。
◆ドイツにおける蓄熱暖房機の歩み
ドイツにおける電気式の蓄熱暖房機は、50年代、60年代に石油式のストーブやボイラー、あるいは豆炭/石炭ブリケット式のストーブなどの代替手段として普及がはじまりました。とりわけ60年代のドイツでは、経済の高度成長が社会を覆い、それは電力需要の急増を引き起こし、日中のピーク時の電力消費出力も急増します。火力、および原子力発電所は日中のピーク時の最大需要に合わせて出力を増強しなければなりませんが、夜間は電力需要が低いため、発電出力に余裕ができます。
火力発電所の燃料である化石資源がまだ安価な時代です。発電所の稼働率を向上させ、電力事業者の経済性を向上させるためには、夜間でもできるかぎり発電所の連続運転をさせたいところです。こうして、夜間の電力需要を掘り起こすために、昼間の通常の電力価格よりも大幅に安価な電力を販売する「深夜電力料金制度」が形作られ、それとセットで、電気式の蓄熱暖房機(夜間の安価な電力で蓄熱体を温め、全日の暖房源とする)と深夜電気温水器(夜間の安価な電力で温水を作りタンクに貯め、それを全日の給湯源とする)の普及がはじまりました。
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