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ドイツBW州「再生可能エネルギー熱法」の改正

バーデン・ビュルテムベルク州では「再生可能エネルギー熱法」が改正になり、7月1日から施行されています。
これまでの経緯を見る限り、BW州で先行施行された「熱法」が、数年後に連邦の法律になったり、改正されたりしていますんで、おそらく今回も、数年後の連邦の形(2016/17年EnEV改正のタイミング?)を先取りしていると思われます。
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基本的には以下のように変化がありました

 

  1. 今までと同じように、2009年1月以降の新築、今後の新築については、連邦の「EnEV」と「熱法」があるので、適用されません。それより以前に建てられた建物についての改修のみが対象となります。
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  2. 同様に、利用延床で50m2以上の住居、事務所などが対象です。また、4ヶ月以下しか利用していない別荘なども対象外です。
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  3. 対象となる建物において、セントラルヒーティングの熱源であるボイラーなどの発熱設備を取り替えたり、これまでセントラルヒーティングでなかった採暖式の建物にセントラルヒーティングをはじめて導入しようとするとき、これまでの熱法で定められていた「熱供給量(暖房・給湯)の最低10%の熱源は再エネにするもの」、という規制の数値が引き上げられ、今回から15%となりました。
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  4. 具体的にこの15%は、計算上で以下のいずれかの対策の中から、再エネ発熱し、クリアしなければならないことにしています。つまり、通常のオイルボイラーを入れる家庭では、購入する燃料を発熱量換算で最低15%分は、バイオマス由来のものと混燃する、とか、太陽熱温水器の場合は、必要パネルの大きさ、向き、蓄熱タンクの大きさを、簡易的なシミュレーション値で15%を超えるものを導入する、などなど。
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    ・高効率型で年間を通じてAPF3.5以上の証明ができる電気ヒートポンプ
    (ドイツの気象条件では、APF3.5は送る湯温が低い床暖房、壁暖房のケースでのみ実現可能)
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    ・木質ペレット、薪ボイラー
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    ・バイオガス、もしくはバイオオイルの投入
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    この背景には、断熱改修、気密改修のレベルが上がり(EnEV2014での法規制の要求値も上がり)、価格も安価になってきていることから、そもそも分母である熱量自体を小さくすることができる可能性を持っている、あるいは改修して必要熱量がそもそも少ない現状に則して修正したという感じの内容です(太陽熱温水パネルの面積をもう少し大きめにしょうという意図での改正ではない)。
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  5. ただし、上記の対策を取りたくない場合、経済的や技術的、状況的に取れない場合は、以下のような例外的な代替策が認められています。・ボイラー入れ替え時に、同時に断熱改修する
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    ・ボイラー入れ替え時に、同時に断熱改修する
    現行の省エネ政令EnEV2013/14で義務付けられている屋根裏、屋上、外壁などの断熱改修における要求数値よりも、20%断熱性能を高めた改修のみ有効)
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    ・地域暖房網への接続
    (この地域暖房の熱源の50%以上の発熱がコジェネか、15%以上再エネ、未利用エネでなければなりません)
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    ・ミニコジェネ、マイクロコジェネの導入
    コジェネの熱効率が80%以上であることを証明。発電出力20kW以下のマイクロコジェネのケースでは、1年間に延床1m2あたりコジェネ発電量が15kWh以上を確保する稼働率が必要。発電出力20kW以上のミニコジェネでは、年間必要熱量の50%以上がコジェネで供給することが必要)

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    もちろん、4.と5.の対策を組み合わせても、以下の6.7.を組み合わせても、合わせ技で15%にしてもOKです。
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  6. 追加の代替策では今回の改正から以下の2点が新たに入りました。
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    ・太陽光発電利用(延べ床面積1m2あたり、PV発電出力が最低0.02kWp必要=100m2の住居の場合、2kWp以上)
    これまでは太陽光発電は建物躯体とは切り離されて考えられていたのですが、PVが安価になり、FIPで外に販売しても意味が薄れたことから、市場が移り変わり→DSMやバッテリーを駆使して、自家消費メインになったのを受けて、建物躯体装置の一つに数えないことには整合性が取れなくなってきているため、はじめて登場しています!
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    ・建物の省エネ改修プラン(ロードマップ)の策定(エネルギーパスを作成した時に今では出てくる省エネ改修提案の内容を、プラン、ロードマップにしたもの):
    ただし、この対策は5%削減分としか認められません。加えて、地下室天井への断熱は、最大でも10%削減分としか認められません。つまり、ボイラーの入れ替えを安価に実施したい人にとっては、省エネ改修で最も進度の遅い地下室天井断熱をやり、同時に、省エネ改修プランを策定させるセットで実施してもらうという意味です。→これによって、経済的に困難だという抜け道を効率的に塞ぐという意図もあります。自分で地下室の天井に断熱材を張り、省エネ改修プランをエネルギーエージェントに発行してもらうと合計15万円ぐらいでできますので。
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  7. さらに、居住用ではなく、大部分が事務所用、事業用の建物では、以下の代替対策も認められています。・工場などでの排熱利用、排熱回収や、事務所などでは、熱交換機能付きの換気装置の導入ただし、非住居用の建物では、暖房・冷房だけではなく、換気・冷房も考慮にいれなければなりません。また、多くの古い小規模非住居建物では、換気の配管など回していませんから、これはどちらかと言うと高価な対策になります。
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  8. 罰則については、ボイラーの入れ替えを行なった日から、18ヶ月以内にそれらの対策を実施し、証明書を作成させ、建設申請局(自治体、郡)に提出しないと、罰金、そして行政指導が入ります。
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ということで、新しい進化した「熱法」についてでした。

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この記事を書いた人

村上 敦
ドイツ在住の環境ジャーナリスト。環境コンサルタント。日本で土木工学部、ゼネコン勤務を経て、環境問題を意識し、ドイツ・フライブルクへ留学。フライブルク地方市役所・建設局に勤務の後、2002年から独立し、ドイツの環境政策、都市計画、エネルギー政策を日本に紹介する。 多様なメディアへの寄稿と企画協力、環境関連の調査、自治体/企業への環境コンサルティング、講演活動を続ける。 南ドイツの自治体や環境関連の専門家、研究所、NPOなどとのネットワークも厚い。

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