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エネルギーエージェント探訪~VOL佐々木努氏~

第2回目は埼玉県の建築士事務所、ささ木暮らし設計の佐々木努さんを訪ねてきました。

 

2015-05-21 10.41.20

築20年住宅の断熱改修

オーナー様は売ろうかどうしようか考えていたところに、断熱改修リフォームのメリットを知り、そこから佐々木さんとの出会いで工事がスタートしました。

現状は外壁屋根を昨年塗り替えたばかりなので、それを壊すというのは忍びない、また、リビングの内装にはパインの無垢板が当時から張られていて、折角のこれをはがすのも忍びない。さて、どうしたものか?となった時に、天井と床下に断熱をして、あとは開口部強化、インナーサッシで行くしか無いと。

しかも、壁が強化出来ない以上、開口部を強化せねばならず、それには普通のインナーではダメだと。そこで、木製の空気層16mmペアガラスのサッシを採用して“第1弾”目の改修工事を終えました。

第1弾としたのは佐々木さんの野望?があり、強化できなかった壁をある工夫をして強化し、予算の関係上設置できなかった木製インナーも追加して更なるバージョンアップを提案したいと。

そこで、そのバージョンアップのエネルギーパスも作成しました。

つまり、今回のエネパスはBefore、After、After+と3パターンのご紹介です。

まずはBeforeスライド1

断熱スペック

壁:グラスウール10K50mm

床:グラスウール10K100mm

天井:グラスウール10K100mm

シングルガラスアルミサッシ

スライド2

やはり、シングルガラスアルミサッシのマイナスパワー恐るべしですね。

スライド3

次にAfter

床:185mm羊毛断熱材

天井:185mm羊毛断熱材

窓:南掃出し2か所16mmペアガラス熱取得型LOW-E(U値1.6W/㎡K)、西引違1カ所木製インナーサッシ・16mmペアガラス遮熱型LOW-E(U値1.6W/㎡K)

スライド4

 

 

Beforeと比べで必要エネルギー約55kwh19%削減!

スライド5

Q値3.64W/㎡K、Ua値1.21W/㎡Kへ

無暖房温度も8.8℃へ上昇

スライド6

光熱費的には暖房エネルギーは減少するも、ペレット燃料費が若干嵩む為さほどの変化はありません

と、ここまでが通常のBeforeとAfterの比較で、これだけでもかなり参考になるのですが

佐々木さんはもっとエネルギー削減をして欲しい一心で更なる断熱改修プランを考え

それもエネパスに落としました。

プランとしては壁を壊さず付加断熱する手法としてフェノール打ちっぱなしを選択

また、木製インナーを残りの窓に設置、更に気密を1cm2/㎡まで向上させたものです。

スライド9

必要エネルギー235kwh⇒132kwh/㎡ 43.8%削減!!

因みにBeforeと比べた削減率は54.4%です。

ここまで出来れば素晴らしいですね。

スライド10

Q値も3.64⇒1.76W

Ua値1.21⇒0.64W/㎡K Uaはやっとまともな数値になったって感じですね。

無暖房温度8.8⇒11.3℃へ

スライド11

と、ここまででも十分素晴らしい考察なのですが、最後のもう一つ調べてみたいことがありそれも計算されました。

それは、木製インナー三カ所を設置しなかった場合、つまり床と天井だけの断熱改修だとどんな結果になるか?

スライド7

Before…290kwh/㎡

After(サッシ無し)…274kwh/㎡

After…235kwh/㎡

インナーが無ければさほどの削減は無いということです。

スライド8

また、インナーが無ければQ4.36W㎡K、Ua値1.48W/㎡K

無暖房温度は変わらずの8.3℃。。。

という結果になりました。

たった三カ所の木製インナーサッシを付けただけで上の数字になるのですから、やはり開口部強化は

断熱改修においてマスト以外の何ものでも無いことが分かりました。

色んな角度からエネルギーパスを計算いただいた佐々木努さんが今後どんな提案をして

エネルギー向上設計をされていくか楽しみですね。

有難うございました!因みに後ろの木製三層サッシはご自宅の断熱改修で採用するものです。

これはこれで、楽しみな報告が聞けそうです。

2015-05-21 12.10.50

 

佐々木努:ささ木暮らし設計

http://www.sasakurasekkei.com/

 

この記事を書いた人

吉田登志幸
2001年より木製三層サッシを販売、東日本大震災が起き、原発に始まる日本のエネルギー問題の深刻さに直面し、省エネ住宅の普及啓発を一刻も早く推し進めるべく、エネルギーパス認定講習会講師、自立循環型住宅研究会関東支部代表、省エネ住宅のセミナー、勉強会の講師をつとめる。

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