家の燃費、という概念

2015年4月6日

エネルギーパス説明の前に知ってほしい「日本の住宅のココがオカシイ」

先進国では必ずと言ってよいほど、断熱の規制や厳しい義務基準が設定されています。ところが、日本だけが断熱性能に対する義務基準が設定されていません。なぜ日本だけ住宅の断熱基準の義務化が進められていないのでしょうか?その理由は「建物の燃費というものが計算されてこなかったから」ではないでしょうか。当たり前の話ですが現状がわからないと改善のしようがありませんし、ゴールも設定できません。

住宅以外の商品を考えてみてください。家電や自動車に年間の予想燃費が明示されています。いまどき、車や家電を買い替える際には、この表示されている予想燃費を判断材料としない人は稀ではないでしょうか。燃費が分かれば光熱費を予測することができるため、買い替え判断基準として大きな要素となります。

東日本大震災後、日本中でエネルギーが不足しており、全国的に電力料金の値上げが進んでいます。東電管内では東日本大震災前と比較して30%も上昇。そのため多くの人々が、住宅の省エネ性能として日々支払っている光熱費がどのくらいかかるのかを気にするようになりました。住宅は生涯で最も高価な買い物にもかかわらず、基本性能である燃費が表示されていない。今思えば、これ以上不思議なことなのです。まさに住宅の基本的な省エネ性能を邸別にあからさまにすることができるのが、「エネルギーパス」です。これからの日本、成熟した先進国の最大のテーマは「既存住宅の省エネ化の促進」です。そして既存住宅の省エネ化のために作られたのが「家の燃費」という概念、すなわち「エネルギーパス」なのです。

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不動産価値基準としての「家の燃費」

日本ではまだ意識されていない「家の燃費」ですが、ヨーロッパでは「エネルギーパス」が義務付けられています。家を借りたり、購入したりする際、不動産会社はお客様に対して、その家で1年間暮らす場合に必要な冷暖房エネルギーと給湯エネルギーが表示しなければなりません。お客様はそこから年間の光熱費を予測することが出来るので家を選ぶ上で大きな判断基準となっています。したがって、燃費の悪い家は、賃料がその分安かったり、販売価格が安かったりします。住まい手は、賃料だけでなく光熱費までトータルして住まいに対しての支払額を考えることが出来るため、より自分に合った住宅を手にすることが当たり前に出来る社会になっています。

たとえば、地球環境保護に貢献したいと考えている人は、賃料が高くても、できるだけCO2排出量の少ない住宅を選ぶことが出来ます。逆に住宅にかける費用をできるだけ抑えたいと考えている人は、賃料だけでなく燃費も考慮してトータルで最も安価な家を選ぶ事が出来ます。当然、大家さんや売主さんは、高く貸したり売却したりしたいため、居住者が重要視している「家の燃費」を出来るだけ向上させようと、日々研究してリフォームしているので、低燃費な家が数多く増えています。

日本においても同様であり、新築だけではなく現在約6,000万戸存在する既存住宅をいかに省エネ化していくかが、これからの最大のテーマであると言えます。住宅産業に携わる私たちは、新築のゼロエネ化を早々に実現し、出来るだけ早く既存住宅の省エネ化へと軸足を移していく必要があります。その第一歩が「エネルギーパス」という共通のモノサシを作り上げていくことだと思っております。